実家の風呂場に幽霊がいる。
と3日位前から家族の中でちょっとした騒ぎになった。というのも、久しぶりに息子を連れて実家に帰り今まで通り、風呂に入れたらものすごく怯え、大泣きをしたのだ。
小さい頃は風呂に入れるとよく泣いていたが段々実家の風呂にも慣れ、ここ暫くは平然と入っていた。
それなのに今回は風呂場の天井の一点を見つめると泣き始め、しまいにゃ上を向かない様にうつ伏せになってしまい、私の腕の皮をこれでもかと握ってくる。
これは尋常じゃないと感じた私。
絶対に何かいる!そう確信した。
2日目も全く同じ様子。昔の私ならビビりまくって親を風呂場の外に待機させていたところだが、母は強し。
息子をこんなに怯えさせるなんて…そう思うと恐怖より怒りがこみ上げてくる。
昔、何かの本に霊は強気で対応すればどっかに行くと読んだ事があったので
「出てけーっ!」
「去れーっ!」
と何回も叫んでみた。すると不思議な事に息子も静かになった。
翌日父が小さい観音様の像を置き、線香を焚いた。ついでにお経まであげて。
私は二十ウン年この家に住んでいるのに今になってお祓いもどきな事をするなんて、よく考えると今更?な話だ。
でもこれで今日からゆっくり風呂に浸かれるとホッとした。
ところがその日の夜も息子は同じ様に怯え泣いた。もう火がついたように。観音様は役に立っていないのか…そうガッカリしながら息子が見つめる先を見ると、そこには風呂場の電気。
風呂場の電気はちょっと薄暗くしかも湯気でボンヤリしてる。
もしかしてこの電気が怖いんじゃ。その後も息子の様子を観察すると、やっぱり電気を見て泣く。
ガビーン
電気の何が怖いのかは不明だが、やっぱり電気だ。それが分かると、自分がとった行動、親を巻き込んでのマヌケな儀式が何と恥ずかしい事か!
実家の風呂場はやたら声が外に漏れる。私のマヌケな台詞を聞いた人がいない事を祈りたい。
こうして風呂場の幽霊騒ぎはお粗末な結末を迎えた。ゴーン